■ フィンランドの「アート・文化」inカフェショコラ■

京都三条にあるカフェショコラが創業10周年を記念した「FINLAND FAIR カフェショコラ10th Anniversary」。10月16日から12月25日にわたり、フィンランドに関する様々なイベントが開催されました。

    10月16日〜11月6日 フィンランドの「インテリア」
    11月12日〜11月25日 フィンランドの「食」
    11月10日 フィンランドの「アート・文化」
    12月1日〜12月25日 フィンランドの「クリスマス」





●11月10日 フィンランドの「アート・文化」●


<前半:対談 脇坂克二×坂田文保>
マリメッコやSOU・SOUなどでテキスタイルデザイナーとして活躍した脇坂克二さんと北欧や東南アジアで幅広く活動中の坂田文保さんが、自身の体験や思いを通して得たフィンランドについての見聞を語りました。

<後半:フィンランド短編映画上映会&橋本晴子トークショー>
雪の劇場で開催する映画祭とそれに基づく雪を利用したイベントの企画・提案・開催を行う団体「SnowCollective」から橋本晴子さんをお迎えし、上映会とトークショーを開催しました。



対談 脇坂克二×坂田文保

脇坂克二さん(写真右)
 1944年 京都市生まれ
 1968年 マリメッコにてテキスタイルデザイン担当
 1976年 ニューヨークのラーセン社に移籍
 1985年退社後に帰国し様々な分野で活動を続ける 

坂田文保さん(写真左)
 1950年誕生
 同志社大学在学中にフィンランドに魅了され、渡芬
 航空会社やコンサルタント業の他、多くの事業に携わる
 多趣味で外国語や武道に精通し、ボーリングはプロ級の腕前



カフェショコラさんの協力のもと、関西日本・フィンランド協会が脇坂さんを迎えた対談を企画しました。
デザイナーとして国際的な経験と知名度を誇る脇坂さんに、これまた世界を舞台に飛び回っている当協会代表の坂田さんがトークを展開しました。

(坂田)脇坂さんはマリメッコでのデザイナーとしての活躍が有名ですが、どのような経緯で入社されたのですか?

(脇坂)私はマリメッコに就職したかったので手紙を書いたのですが、返事はもらえませんでした。そこで飛び入りし、とりあえず見てくれとデザイン画を置いて帰ったんですね。そうしたらひと月無給で働いて、よかったら採用するという運びになりました。そして社長のOKが出て雇ってもらえることになりました。

(坂田)なぜマリメッコに惹かれたのですか?

(脇坂)当時のマリメッコは今よりもっと衝撃的なデザインで、アートのように直接人に訴えてくるものを感じたからです。だから入社した1か月は楽しくて、10個のデザインを出しました。最初に採用されたテキスタイルは社長が「キリ(石)」と名付けてくれました。

(坂田)脇坂さんの代表作は他にもありますよね。

(脇坂)実は私、マリメッコを一度クビになっているんですよ。採用されて半年後のことでした。アイデアを出しつくして、自分が空っぽになっちゃったんです。
それでヨーロッパを1か月ほど旅行して、フィンランドに帰ってからはフリーのデザイナーとなりました。そしてもう一度、デザイン画をマリメッコに持って行ったら、認められて再任用となったのです。
それから制作したのが「カルセリ(メリーゴーランド)」「ブーブー(車)」「ネック(キャンディ)」などです。

(坂田)私が1971年にフィンランドに行ったとき、脇坂さんは最も有名な日本人だと教えられました(笑)。

(脇坂)でもフィンランドにいたのは8年でしたね。だんだん退屈になってNYへ飛び出しちゃいました。
私は活気のある京都の西陣で育ちましたが、ヘルシンキは変化の少ない町でした。
自分から発していかないと何も起こらない、といった感じでしょうか。

(坂田)フィンランドで得たものは何でしょうか。

(脇坂)それはたくさんあります。私がマリメッコにいた期間はまさに自己形成のときでした。
「こういうものを作りなさい」と与えられるのではなく、「Be Yourself」と言われたのをよく覚えています。
自由がゆえの厳しさと孤独。フィンランド人はそれぞれの森の中で独り生きているような感じでした。

(坂田)私も同じ印象を持っています。森の中にぽつんと家が建っていて、その中に一人で住んでいる。
隣の森にはまた人が一人で住んでいて、お互いに干渉しないで生きている、みたいな。
私は少林寺拳法の心得があるのですが、「右向け、右!」でフィンランド人がちゃんと右に向いたのが記事になったほどです。どこまで独立独歩なんだ、と(笑)。

(脇坂)よく「北欧」とひとまとめにされますが、フィンランドはちょっと異質ですよね(笑)。
直線的な建物が多く、人は控えめで静かな国ですが、今も私が仕事をできるのは、自分を発見させてくれたフィンランドでのあの8年のおかげだと思っています。

-了-

  

フィンランド短編映画上映会&橋本晴子トークショー

橋本晴子さん

大阪府出身のバイタリティ溢れる母であり、SnowCollectiveのメンバー。
2009年に長野県斑尾(まだらお)市にて「みゆき野映画祭」を成功させる。
「みゆき野映画祭」は、雪を固めて作ったスクリーンに映像を映す手法で北欧の映画を上映する他、大人も子どもも楽しめるワークショップを手掛けるイベント。
毎冬多くのボランティアやサポーターの協力を得ながら開催を継続し、2011年からは東日本大震災のチャリティー上映として全国を巡回している。


カフェショコラでは、はじめにフィンランド風のランチメニューを楽しみながら、上映予定の映画の紹介やフィンランドの文化についてのトークが繰り広げられました。
また、橋本さんの所属するSnowCollectiveや「みゆき野映画祭in斑尾」について紹介されました。

(関連HP)
http://www.snowcollective.com/
http://miyukino.snowcollective.com/home



上映作品

「はりねずみ(黄色いキリンが語る動物物語シリーズ)」 
2003年 監督ヤーナ=ウォルフォルス、アントニアー=リングボム

「タンゴ・フィンランディア」
2006年 監督ハンヌ=ラユネン

「結婚式の朝」
2011年 監督セルマ・ヴィルフネン

「いちばん難しいのは愛」
2005年 監督スヴィ・ウエスト





その他イベント告知

*関西日本・フィンランド協会35周年記念行事*

来たる2014年、当協会は設立35周年を迎えます。それを記念して、様々なイベントの企画・準備が行われています。メインは何と言っても流鏑馬と茶会。フィンランドの首都ヘルシンキを騎乗の射者が駆け抜け、世界遺産にも登録されたスオメンリンナ島では献茶が振るまわれます。

会員のみなさまにおかれましては、ぜひご参加の上フィンランドと日本の繋がりを感じていただければと思います。

また、会員でない方はこれを機会に当協会に関心を寄せていただき、よろしければ会員になっていただければ幸いです。



記念行事については当協会事務局の高林素樹さんからの説明の他、京都市在住のフィンランド人女性アリッサさんからのお話もありました。
アリッサさんはタンペレ市出身。ヘルシンキの大学で日本語学を勉強し、京都で茶道を学んだフィンランド人の先輩の影響で来日したそうです。今は茶道の他に和裁も学んでいます。
自然豊かな環境で育ったアリッサさんにとって、山や川のある京都は住みやすい町だそうです。人も穏やかで、ずっと何かしゃべっていなければいけない、という雰囲気がないのも気に入っているとか。だから逆に日本の人も、フィンランドの落ち着いた空気感に心地よさを覚えるのかもしれませんね。



カフェショコラさんについて

京都市の中心部にたたずむレトロな建物「1928ビル」。その2階にあるカフェショコラは、やさしいクリーム色の店内におしゃれなインテリアや雑貨がコーディネートされ、訪れる人の目を楽しませます。
もちろんサーブされるお料理もおしゃれ。リーズナブルなランチや本格的なガレットメニュー、イタリア公認バリスタが入れるエスプレッソドリンクなどで人気を集めています。


カフェショコラのオーナーは、アートについての造形が深く、北欧デザインの大ファンでもある太田卓さん。
当協会の会員でもある太田さんの多大なご協力の元、今回のイベントが開催されました。
太田さん、ありがとうございました!



文責:井之上
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