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フィンランドからのレポート


in Vuokatti
〜オールシーズン滑走可能なスキートンネル〜

 2000年度交換留学生の高橋直博です。今回は関西日本フィンランド協会から物心両面のご協力を頂き、心より感謝しております。私はフィンランドでのクロスカントリースキー活動とそのコーチングの勉強を主な目的として渡ふんしてきました。世界をリードするクロスカントリー王国フィンランドの情報をこれから数回に渡りレポートしていきたいと思います。

 フィンランドには世界で唯一オールシーズン滑走可能なスキートンネルがあります(Vuokatti/フィンランド中部)。もちろんクロスカントリースキー専用、幅8m、高さ4m、全長1200m(往復2400m)、合計標高差51m/2.4km、気温5〜9℃といった概要です。世界のトップスキーヤーが集まるVuokattiはまさにクロスカントリーの中心といった感じです。そこに隣接するVuokatti Sports Hotelの所長Pekka Vahasorinki氏にフィンランドのスキーについて話を伺ってきました。彼は世界チャンピオンを数多く育てたフィンランドスキー界に欠かせない人物で、長野オリンピックの際は、全日本クロスカントリーチームのコーチも努めた人です。
 「フィンランドのクロスカントリースキーは大きな歴史があります。戦時中などは旧ソ連軍との北極圏での戦闘で、クロスカントリースキーが活躍しました。フィンランド軍はクロスカントリースキーに秀でていて、打撃を旧ソ連軍の1/12に抑える事ができたという記録もあります。ですが、多くの優秀なクロスカントリースキーヤーが亡くなったのも事実。そういう歴史もふまえ、多くのフィンランド人はクロスカントリースキーに誇りを持っています。」確かにフィンランドスポーツの競技人口からみても、サッカー、体操競技に次いでクロスカントリースキーは人口がとても多く、またクロスカントリースキーのテレビ中継も頻繁にあります。その影には世界のトップスキーヤーを輩出する人気スポーツという反面、生活に根付いた歴史の重みを感じることもできます。

 さて、もちろん世界唯一のスキートンネルを誇りに思っていることでしょうが、トンネルを作った理由を聞かせてください。「スポーツ全般、クロスカントリースキーも例外ではなく、その特定的なトレーニングが必要不可欠。定期的に雪上に立つことでその技術の向上、エコノミック(効率の良い代謝)の改善などが狙いです。」日本の多くのスキーヤーは定期的にスキーを滑ることができません。以前全日本のコーチとして日本の環境をご存知かと思いますが、日本のスキーヤーに何かアドバイスはありませんか。「一般的に日本のスキーヤーは上半身が弱いように思います。上半身を鍛えることがパフォーマンス向上の一つの方法でしょう。筋力トレーニングといっても多種多様で、その強度、量、方法と組み合わせ方によって全く別のトレーニングになります。ただ今コーチングの勉強中ですが、私の考察が深まり次第、随時紹介していきたいと思います。
 またご意見ご質問があればお待ちしています。
高橋 直博
(会報より)